ここ数年、学び直しに関するニュースや新聞記事などで「リカレント教育」や「リスキリング」といったキーワードをよく見聞きしませんか?
この2つの言葉は似ていますので違いを正しく理解されている方は少ないのでは、と想像します。
どちらも社会人の学び直しを意味していますので、大きな意味では同じです。
ただ厳密に言いますと、
リカレント教育とは仕事を辞めて学ぶことであり、
リスキリングは仕事をしながら学ぶことです。
この記事では、リカレント教育とリスキリングの違いについてもう少し深掘りして説明します。
社会人にとってはリスキリングをおすすめします。
その理由も説明しますので、是非とも最後までご覧ください。
結論
- リカレント教育とは、仕事を辞めて学ぶこと
- リスキリングとは、仕事をしながら学ぶこと
- 社会人の方々は、自己投資としてリスキリングを行いましょう!
学び直しの方法には2種類ある

社会人の学び直しとして「リカレント教育」がよく取り上げられた時期がありました。
ここ数年では「リスキリング」というキーワードをニュースや新聞記事などで見かけるようになっています。
似たような言葉ですが、その違いを明確に理解しているでしょうか?
社会人の学び直しという大きな意味ではほぼ同じです。
しかし厳密に言いますと、リカレント教育とリスキリングは異なります。
厚生労働省や経済産業省などが定義している内容を基にそれぞれの違いを見てみましょう。
リカレント教育とは仕事を辞めて学ぶこと
リカレント教育とは、厚生労働省の定義によりますと、以下のように定義されています。
(厚生労働省参照)
学校教育からいったん離れたあとも、それぞれのタイミングで学び直し、仕事で求められる能力を磨き続けていくことがますます重要になっています。
このための社会人の学びをリカレント教育と呼んでおり、厚生労働省では、経済産業省・文部科学省等と連携して、学び直しのきっかけともなるキャリア相談や学びにかかる費用の支援などに取り組んでいます。
また、ブリタニカ国際大百科事典によりますと、以下のように定義されています。
(ブリタニカ国際大百科事典参照)
義務教育または基礎教育の修了後、生涯にわたって教育と他の諸活動(労働、余暇など)を交互に行う教育システム。
スウェーデンの経済学者ゴスタ・レーンの提唱した概念で、1970年経済協力開発機構(OECD)の教育政策会議で取り上げられ、研究が進められている。
リカレント(recurrent)には、繰り返しや循環といった意味があり、回帰教育、循環教育と訳されることもあります。ただ、こちらのフレーズの方がかえってわかりにくいかもしれません。
その他にも定義はさまざまなものがありますが、一言で言いますと、「仕事を辞めて学ぶこと」です。

私もそうですが、日本では高校を卒業した後は一度も社会に出ないまま大学へ進学して勉強をする学生がほとんどです。
それでは勉強をする意義が不明確で漫然と大学へ行っている学生がいることも事実です。
あなたにも心当たりはないでしょうか?
しかし、一度社会に出て働き出しますと、さまざまな意味で無知であったことや勉強し直したいことが出てくるものです。
そうした際に、仕事を辞めて大学や大学院に入り直して学び直すことができれば、意欲的に学ぶことができるので内容が身に付きやすく、仕事へ生かすイメージが湧きやすいでしょう。
ただ問題としては、多くの方が仕事を辞めるというリスクを取れないという点です。加えて学んでいる間は収入が途絶えてしまいます。
独身者でローンなどはなく、ある程度の貯金ができている人であればそのリスクを取ることは可能になるでしょうが、ほとんどの方はそうではないでしょう。
会社によっては社費で留学できる制度があるかもしれませんが、その制度を利用できる人も多くはありません。
そうしたことを考慮しますと、リカレント教育の実施は限られた方を除いてはかなり困難になると言えます。
しかし社会人にとって現実的には難しい。
リスキリングとは仕事をしながら学ぶこと
リスキリングの定義は、経済産業省の審査会で発表された資料によりますと、以下のように定義されています。
(経済産業省参照)
新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得すること、させること。
さらに、「近年では、特にデジタル化と同時に生まれる新しい職業や、仕事の進め方が大幅に変わるであろう職業につくためのスキル習得を指すことが増えている」とされています。
リスキリングとは新たなスキルを身に付けることとされており、リカレント教育との比較で言いますと、「仕事をしながら学ぶこと」です。

ここ数年リスキリングが話題となりよく見聞きするようになったのには理由は大きく2つあります。
- DXなどのデジタルテクノロジー推進が浸透してきた
- 新型コロナウイルスの流行によって働き方が大きく変わった
DXなどのデジタルテクノロジー推進が浸透してきた
DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉もここ最近でよく見聞きします。
ここではDXの詳細には触れませんが、DXやさらにはAI、IoTなどのデジタルテクノロジーの推進を図っている企業が増えています。
しかし実際に業務へ落とし込むには、それらに関する知識やスキルが必要なのは言うまでもありません。
ただ新しいスキルを身に付けている人は多くありません。
そのため新たなスキルを身に付けるリスキリングが注目されるようになってきているのです。
新型コロナウイルスの流行によって働き方が大きく変わった
新型コロナウイルスの流行によって働き方が大きく変わった方は少なくありません。
私もここ2年近くは在宅勤務中心の生活となり、これまでの生活スタイル、仕事スタイルが大きく変わりました。
それによって、オンラインツールの活用は当たり前となっています。
オンラインツールの使いこなしや通勤時間が減少したことや自粛生活によって空いた時間を有効活用するためにリスキリングが注目されるようになりました。
リスキリングは社会人に合った学び方
DXなどのデジタルテクノロジーの文脈で出てくることが多いリスキリングですが、新しい職業に就くためや今の職業で必要とされるスキルを獲得するという意味では、広い範囲を包括していると言えます。
読書やセミナー参加、動画などのオンライン学習や資格取得のための勉強もリスキリングと言えるでしょう。
何よりも働きながら学ぶということは、多くの社会人の方に対応できる学び方と言えます。

働きながら学ぶことには時間の捻出といった課題はありますが、そこは時間の使い方の見直しや在宅勤務による通勤時間の削減などである程度の対応が取りやすいものです。
そのため、社会人の方にはリスキリングをおすすめします。
まずはあなたの仕事に必要なスキルを洗い出して、今のスキル向上や新たな知識やスキルの獲得を検討してみてはいかがでしょうか。
リスキリングを行い、どうしても仕事を辞めて本格的に学びたいことに出会えた場合、リカレント教育として仕事を辞めて学ぶことを考えても遅くはありません。
まとめ

リカレント教育とは仕事を辞めて学ぶことであり、
リスキリングとは仕事をしながら学ぶことです。
社会人の方々は、いきなりリカレント教育を行うことはハードルが高い方が多いので、リスキリングをおすすめします。
自己投資としてリスキリングを行いましょう!