「人生100年時代」という言葉をここ数年でよく見聞きしませんか?
長寿化が進んでいることは理解できても、それによってどういった影響があるか不安になっている方もみえるかもしれません。
さらには定年制は崩壊し、老後資金2000万円問題など、将来の見通しにあまり明るいニュースは聞こえてきません。
20代から30代、40代の方はまだまだ先がありますし、会社が自分たちのことを守ってくれることはなさそうだと気が付いていることでしょう。
こんな時代であるからこそ、自分や自分の家族については自分自身で守らなければなりません。
そのための手段のひとつが「学び直し」です。
学び直しを行い、自分の価値を向上させることで太く長く働くことができます。
不透明な時代であるからこそ、自己投資を行い自身のレベルアップを図る必要があります。
- 人生100年時代とはどんな時代か
- 過去の成功事例は通用しなくなっている
- 社会人は働きながら学ぶリスキリングを実践しよう
- 学び直しのメリットと課題
- 課題(お金・時間・継続)の克服方法
などについてご紹介します。
働くすべての人にとって何かひとつでも参考になれば幸いです。ぜひとも最後までご覧ください。
結論
- 人生100年時代は多くの人が長生きし、長期間働く時代!
- 定期的な学び直しを繰り返して、人生100年時代を生き抜こう!
これからは多くの人が長生きして長い期間働く時代

「人生100年時代」という言葉をここ数年でよく見聞きするようになりました。
人生100年時代とは、ロンドン・ビジネス・スクール教授のリンダグラットン氏とアンドリュー・スコット氏が著した「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」で提唱した言葉です。
その言葉の通り、世界では長寿化が急激に進み、特に先進国では2007年生まれの2人に1人は100歳を超えて生きるという人生100年時代が到来すると予測されています。
実際に日本でも、100歳以上の人口はここ30年間で約24倍となっています。長寿化は今まさに進んでいるということです。
長寿化が進めば、人生における時間も当然ですが長くなります。
1日は24時間ですので、1年では8760時間、10年では87600時間。人生が80年であれば、70万800時間ですが、人生100年になれば87万6000時間です。
人生100年時代に備えて、私たちは人生設計そのものを見直す必要があります。
一番大きな点は働く期間が変わるということです。
人生がそれほど長くなかった時代では、
教育 ⇒ 仕事 ⇒ 引退
という3つのステージの生き方で問題はありませんでした。
しかし、長寿化によって2番目の仕事のステージの期間は長くなります。なぜなら生きていく上で欠かすことができなお金の問題に直結するためです。
今後は、仕事を引退する年齢が70~80歳になることが想定されています。
実際に日本では、2021年4月に「改正高年齢雇用安定法」が施行されました。これによって企業には70歳までの継続雇用が努力義務となりました。
これは実質的に定年は消滅したということができます。
人生100年時代とは、50~60年という長い期間を働く時代と言うことができるかもしれません。

過去の成功事例は通用しない時代が始まっている

人生100年時代では、多くの人が100歳まで生き、50~60年という長い期間を働くことになります。
より長く働くためには、これまでの働き方を変える必要があります。
従来の、
教育 ⇒ 仕事 ⇒ 引退
という3ステージの働き方では、大学を同じ年齢で卒業し、同じような年齢で結婚し、子どもを持って、そして昇進して引退するというような、ある程度の予測が可能な人生モデルがありました。
しかし、今後この従来モデルは成り立ちません。
みんなが同じ時期に同じことをするといった一斉行進の時代は終わりました。これからの世界は、多様性に富んだマルチステージの人生に変わりつつあります。
もうすでに変わっているかもしれません。
1人ひとりが違った働き方や生き方を見出し、また人生のイベントの順序もそれぞれ違ってきます。
自分にとって理想的な人生を追い求めていくことになるのです。
これこそが、
生き方のシフト=ライフシフト
です。
こうした時代では、過去の成功事例はあまり通用しません。
目標とすべきロールモデルも多くは存在しません。
そんな時代であるからこそ、学びの機会が大切になります。
さまざまなステージや選択肢を持つためにも、学び直しの重要度がますます増加していくことになります。

無形資産の重要性が高まる時代

人生100年時代の現代では、老後資金2000万円問題が取り上げられましたようにお金の問題は重要です。
しかし現在の長寿化の流れの中で議論されている問題はお金に偏り過ぎています。
お金はもちろん大切ですが、「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」の中で、お金などの有形資産と同じくらいに大切とされているのが無形資産です。
無形資産とは、その名の通り形のない資産です。
具体的には、以下の3つがあります。
- 生産性資産:知識やスキルなど
- 活力資産:家族や友人関係、身体的や精神的な健康など
- 変身資産:世の中の変化に応じて自分を変えていける力
無形資産は、それ自体の価値とともに、有形の資産形成を助けるという点において人生100年時代のキーとなります。
学び直しをすることは、知識やスキルといった生産性資産の獲得はもちろん、勉強仲間という活力資産、そして何より必要なスキル獲得に動くという変身資産を得ることができます。
一石三鳥になりますので、やらない手はありません。

リカレント教育とリスキリングの違いとは

学び直しの方法論として「リカレント教育」と「リスキリング」という言葉がよく出てきます。
この2つの言葉の意味にはどのような違いはあるのでしょうか?
学び直しという大きな意味では同じですが、厳密には少し異なります。
リカレント教育とは簡単に言うと「仕事を辞めて学ぶこと」であり、リスキリングとは「仕事をしながら学ぶこと」になります。
- リカレント教育とは、「仕事を辞めて学ぶこと」
- リスキリングとは、「仕事をしながら学ぶこと」
社会人の方々は、簡単に仕事を辞めて学ぶことは難しいのが現実です。
そのため、自己投資としてリスキリングを行うことをおすすめします。
リスキリングを行い、どうしても仕事を辞めて本格的に学びたいことに出会えた場合、リカレント教育として仕事を辞めて学ぶことを考えても遅くはありません。

学び直しのメリットと課題

学び直しにはメリットがたくさんあります。
- キャリアアップにつながる
- 社会人視点で学び取れることがある
- 転職や副業につながる
- 人脈が広がる
- 自信が付き自己肯定感が高まる
この5つのメリット以外にも、知的好奇心が満たされたり、学ぶこと自体を楽しく感じることがあります。
本来、興味関心のあることを学ぶこと自体は本当に楽しいものです。
また5つのメリットと重複する部分がありますが、周りの人たちと差別化できるという点もあります。
社会人が1日のうち、仕事以外の学びにどれくらいの時間を費やしているかという有名な調査結果があります。
その時間は何と平均6分です。
社会人の平均勉強時間が6分と短いのには理由があります。
社会人で仕事以外の時間に勉強している人は4.5%しかいないためです。
残りの95.5%の人は普段、仕事以外で勉強をしていないということです。
つまり、仕事以外で勉強すること自体が他の大勢の方々に対して差別化できているということです。
一方で課題は大きく2つあります。それは「時間」と「お金」です。
時間の確保とある程度の金額の自己投資が必要になります。
ただし現代ではすき間時間で勉強できるコンテンツや無料または安価に学べる場も多く存在しています。
工夫次第ではほとんどお金をかけずに学ぶこともできます。
時間やお金がないからと言っていては、勉強しない95.5%の中に埋もれてしまいます。
自分への言い訳はせずに行動してみましょう!

学び直しのお金の課題を克服する方法

お金がかかるという課題を克服する方法としては、まずは独学することです。
一番安価に学び直しができます。
YouTubeといった無料コンテンツを使えばお金をほとんどかけずに学ぶことも十分に可能です。
とは言え、独学では限界がある分野も存在します。
そうした場合は教育訓練給付制度を利用することをおすすめします。
教育訓練給付制度を利用すると、学びたい講座の受講料が20%オフで学ぶことができます。
自分の受けたい講座が対象になっている必要がありますが、多くの講座などが対象となっていますので、調べてみると見つかるかもしれません。
また、大学を考える場合は通信制大学を利用するという手があります。
通信制大学とはあまり有名ではないかもしれませんが、メリットがたくさんあります。
ここでは3つご紹介します。
- 費用が安い
- 時間や場所を選ばない
- 受験勉強が必要ない
こちらも興味がある方は一度調べてみることをおすすめします。

学び直しの時間の課題を克服する方法

お金以上に課題と感じる方が多いのが「時間」です。
実際に厚生労働省の調査でも自己啓発を行う上での問題点の中で、「忙しくて自己啓発の余裕がない」という時間の課題が一番にあがっています。
時間を確保するためにやるべきことはシンプルです。
新しいことを始めるためには、今までの生活の中の何かをやめることです。
ただしここで睡眠時間を削ることはNGです。
削るべきはTVやゲーム、SNSなどがいいでしょう。
そして実際に行動することがもっとも大切です。だれかに宣言することも手です。
その上でより効率的な学びをするためのポイントとして、以下の3つをおすすめします。
- 早起きをする
- すき間時間を有効活用する
- 速度を上げて動画学習すること
忙しい中でも時間をやりくりして、学びの時間を確保し継続しましょう。

それでは何を学び直すべきなのか

学び直しを決意し、時間も確保した。
さぁ何を学ぼうかと考える際に参考にしていただきたいのが3つの基準軸です。
- 自分自身の専門分野の深掘り
- これから必要になるべき分野
- 自分が好きで興味関心がある分野
こうした基準軸に沿って考えれば自然と取り組むべき内容が見えてきます。
達成したい目的が決まれば後は資源、特に時間を集中投下しましょう。
また具体的に学び直すべき5つのジャンルとしては、社会人として必要な知識です。
- ITの知識
- 会計の知識
- お金の知識
- 語学の知識
- 教養の知識
専門的ではなく、基本的なことを知っておくだけでも十分に価値があります。
苦手意識を持たずに取り組んでみると、案外面白く感じたり、新しい発見があるかもしれません。
まずはハードルを下げて、YouTubeで調べてみるだけでもいいでしょう。

どうやって学び直すべきなのか

学びの方法は現代ではさまざまな選択肢があります。
ここで気を付けなければいけないことは、学びの目的と段階です。
ビジネス目的なのか教養や趣味の目的なのか、学びの段階としてインプットをしているのか、アウトプットしていくのか、これらのことを考えて方法を選択する必要があります。
学ぶ内容と目的は個々の事情によって異なりますが、段階としては、なるべく早いうちからアウトプットを意識しましょう。
インプットをいつまでも繰り返していても、内容があまり身に付かず、いわゆるノウハウコレクターと言われる人になってしまうだけです。
例えばYouTubeでビジネス系の動画をずっと見ていますと、それだけで勉強した気になってしまいますが、動画を見ただけでは不十分です。
実践(アウトプット)してこそ価値があります。その点には十分にご注意ください。

学び直しを継続するコツ

実際に学び直しを始めた後に課題となるのが、継続することです。
継続するために大切なことは意志の力に頼るのではなく、日常生活の一部として組み込んで習慣化することです。
習慣化さえできてしまえば、継続することは簡単です。
習慣化するためには次の7つのステップが大切です。
- ステップ1:目的を決める
- ステップ2:目標を決める
- ステップ3:周囲に宣言する
- ステップ4:実際に行動する
- ステップ5:毎日の記録を付ける
- ステップ6:1人で続けない
- ステップ7:毎日実施する
学びの時間を日常生活の中に組み込んでしまい、毎日継続してきましょう。

まとめ

現代は「人生100年時代」と呼ばれる時代になっています。人生100年時代では多くの人が長生きし、結果として50~60年という長い期間働くことになる時代です。
そうした中では、これまでの成功事例や前例があまり通用しなくなり、スキルや健康、変化できる力といった無形資産がより大切になってきます。
スキルや変化できる力を獲得するためには「学び直し」が必要です。
現代は、学びが学生時代まででよかった時代ではありません。
リスキリングと言われる働きながら学ぶことを求められる時代です。
学び直しには多くのメリットがありますし、やらない人がいる以上、やった方との差は広がる一方です。
お金や時間といった課題はありますが、工夫次第ではいくらでも解決することができます。
学ぶべき内容と勉強方法を決め、継続していきましょう。
最後にイチローの有名な言葉です。
小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道